「パートで働いています。残業代が出ないのは普通ですか?」
いえ、全然普通じゃありません。
驚くべきことに世の中のパートさんの中には、残業をタダ働きさせられている人が少なくありません。
基本的に会社は従業員に残業させた場合、その労働をした時間分の対価を支払う義務があります。
いま払って貰えていなくて、あとで会社に請求するにしろ、労働基準監督署に相談に行くにしろ、最低限の知識をつけておかなければチンプンカンプンで相手の言いなりになりがちです。
この記事を最後まで読んで貰えれば、「残業」に関する正しい知識を学ぶ事ができますよ。
パートの残業代と法定労働時間、その他の割増賃金について
割増賃金には3つの種類があり、その中に一般的に残業手当と呼ばれるものが含まれます。
それら3種類とは「時間外労働」「休日労働」「深夜労働」です。
残業手当と呼ばれているのは、「時間外労働」や「休日労働」を指して言います。それぞれ具体的に何に対して支払われる賃金なのか説明します。
時間外労働
法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える労働時間を時間外労働と言う。会社はこの時間外労働に対して割増賃金を支払う義務がある。
休日労働
法定休日(週1日)に労働することを言う。会社はこの労働時間に対して割増賃金を支払う義務がある。
深夜労働
深夜帯(夜22時~翌朝5時)に労働することを言う。会社はこの労働時間に対して割増賃金を支払う義務がある。
これら3種類の割増賃金はその名の通り、割増レートで計算されて支払われます。(通常時が時給1,000円だとしたら、割増賃金は1,000円プラスアルファの時間単価)
パートの残業代:割増賃金別の割増率
割増賃金の「時間外労働」「休日労働」「深夜労働」の割増率は法令で定められています。
その中でも、2019年4月より順次施行となっている「働き方改革」において、「時間外労働」は月60時間以下、月60時間超えの2段階で割増率が異なるルール適用になりました。
月60時間以下・・・割増率25%(通常時給1,000円なら1,250円になる)
月60時間超え・・・割増率50%(通常時給1,000円なら1,500円になる)
これまでは大企業のみにこのルールが適用されていましたが、2023年4月から中小企業も対象になります。
割増賃金別の割増率一覧表
割増賃金の「時間外労働」「休日労働」「深夜労働」の割増率を一覧表で記します。
種類 | 割増し賃金の種類 | 割増率 |
時間外労働 | 法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えたとき | 25%以上 |
時間外労働時間が限度時間(月45時間、年360時間)を超えたとき | 25%以上 | |
時間外労働時間が月60時間を超えたとき | 50%以上 | |
休日労働 | 法定休日(週1日)に勤務したとき | 35%以上 |
深夜労働 | 深夜帯(夜22時~翌朝5時)に勤務したとき | 25%以上 |
時間外労働の補足法定時間内(1日8時間、週40時間)の残業であれば、通常レートで賃金が支払われることになり、割増レート適用にはなりません。
深夜労働の割増賃金は重複する
深夜労働を軸に以下の要件があてはまる時、割増賃金が重複して支払われなければいけません。
・・・割増率25%
・・・時間外労働+深夜労働=25%+25%=50%
例えば、コンビニで14時~22時(8時間)の間、時給1,000円で勤務していた。
夜22時から勤務予定のスタッフから急遽「遅刻する」と連絡があり、店長から残業をお願いされこれを承諾。夜24時まで働いた。(2時間残業)
この場合、
- 14時~22時 時給1,000円(割増なし)×8時間=8,000円
- 22時~24時 時給1,500円(割増レート50%)×2時間=3,000円
- 当日の日当は8,000円+3,000円=11,000円
・・・休日労働+深夜労働=35%+25%=60%
割増賃金重複の補足時間外労働と休日労働は重複しません。休日労働した場合は割増レート35%が適用されます。
パートの未払い残業代を請求する
上記の残業代(時間外労働、休日労働)については理解できましたか?ここからは、過去の未払い残業代の請求について説明します。
残業代を支払わないことは違法行為ですから、未払い残業代がある場合は会社に請求して支払ってもらいましょう。
逆に言うと2年で時効を迎えるので、2年以上に渡ってサービス残業がある人は早めのアクションが重要になります。
先ずは会社の担当に相談してみて、ダメだったら労働基準監督署へ相談したり、弁護士に相談する形がいいでしょう。
ただ、労働基準監督署や弁護士に相談に行くにしても、知識ゼロでいくのと基礎知識があるうえで行くのとでは、次のアクションの効率に雲泥の差が出てきます。
2年の時効があるので、請求に関する行動は迅速かつ効率的に、1日も早く回収しなければ回収不能となる金額が膨らみます。
そこで、
基礎知識の習得と未払い残業代の回収対策を学ぶうえで最適な書籍をご紹介します。
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◆残業代の計算方法
◆会社への知らせ方
◆証拠書類の集め方
◆労働審判の申し立て
◆和解から残業代回収まで
この1冊ですべてわかります。
この本に書いてある知識を使うような境遇にいないことがベストだけど、未払い残業代がある場合はしっかり請求したいよね。
会社と和解が成立して継続勤務可能なら良し。継続勤務が難しければ、次は法令を遵守する職場に転職する事も視野にいれましょう。
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